ウネラのブログ

元新聞記者ウネラの日記

8歳長男の読書スタイルと「でんしゃにのったかみひこうき」

8歳の長男は近頃異様にスポーツに燃えていて、読書への興味が明らかに薄れていっているのがわかります。

 

座っているのもじれったいらしく、学校から帰るとすぐボールや縄跳を持って外へ出かけていきます。

「元気」とか「活発」とかいうのは、こういう状態をいうんだろうな、などとぼんやり思いながら、内向的な自分とのあまりの違いに驚き、なかばあきれつつも、ある面ではうらやましく思ったりしています。

 

親子とはいえ、まったく違う個人同士なんだなあ…と実感する毎日です。

 

以前は、「もう少し読書したらいいのに」と思わないこともなかったのですが、体を動かしているときがあまりにも楽しそうなので、最近は「本読んだら?」などと誘う気にすらならなくなりました。

 

それでも時々、めずらしく静かだなあと思ってみていると、図書室から借りてきた少し長めの児童書を黙々と読んでいたりします。

 

先日久々に読書に没頭している姿を目撃したときは、その数日後にインフルエンザを発症していたので、「なんとなくだるくて動けないから本でも読んでみるか」ぐらいの気持ちで、本とつきあっているのかもしれません。

 

それでも、不自由な時間の過ごし方の選択肢として、読書があるというのはなかなか素敵だと感じます。

 

特に感想を言ってきたりもしないため、読んで何かを得ているのか、どころか、内容を理解しているのかもわかりません。字面を追っているだけかもしれないし、挿絵をぱらぱら眺めているだけかもしれない。

 

けれど、いつも獣のように絶えず駆け回っている子どもが、小一時間しんと押し黙って静かに読書する姿を見ていると、彼がすっかり本の世界の中にいて、その世界の中で何かが起こっているようだと感じます。本を読んでいるときの長男は、そこにいるのに、どこかにいっているような、そんな存在に見えるのです。

 

ちなみに、その時長男が読んでいたのは

「でんしゃにのったかみひこうき」(長崎源之助・作/村上勉・絵/あかね書房)

という本。私も読んでみたのですが、とても素晴らしい本でした。もう絶版なのでしょうか。だとしたら残念です。

児童書ですが、大人でもすっと引きこまれていくような、短編映画のような作品だと思います。繊細ながら淡々とした筆致が、登場人物の心の動きや風景を効果的に描き出しています。

児童書ですが、子どもじみていないのは、作者が子どもの世界をしっかりと尊重している証なのだろうか、といった感想を持ちました。絵も美しい。

 

夢のある上質な児童書でした。

 

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 写真は今年はじめに乗ったいすみ鉄道

「でんしゃにのったかみひこうき」に出てくる「でんしゃ」は江ノ電です。