もしもの車
8歳と、5歳と、3歳の人たちが、朝から晩まで家の中で顔を合わせていると、なかなか大変そうです。
30分に1回、いや、15分に1回、いやいや小さいのも合わせると、5分に1回くらい、諍いが起きています。
よくそんなに争うことがあるな、という感じです。
こういう状況なので、親としても体力を温存しておくことが重要だと考えているため、子の諍いへの介入は最小限に、省エネな感じで見守っています。
先日、子どもたちが「会議」なるものを始めました。
どうやら車をつくるという話らしい。
ノートには「設計図」を書き込んでいるといいます。
一見粗々な設計図ですが、段ボール「S」を6つ、「M」を3つという、謎の精密さも垣間見えます。
父の書斎から段ボールを無事運び出すことに成功した子どもたちは、それをもって工場(子ども部屋)へ。
いっこうに片付かない引越し用段ボールが活きたようです。
以後数時間、部外者(私)は締め出されることとなります。
「三男、やめて~!壊さないで!」
「やってないよ!!」
「あ~もう、やめだやめ!」
「無理だ~もうできない。こんなボロ!」
定期的に怒声や泣き声が聞こえてくるものの、なんとか持ち直し、作業は続行されている模様。
部外者はこの隙に、リビングに敷いてある布団にて休息。
横になると、家事などやるべきことがあるような気もぼんやりとしてきますが、「体力の温存」という名目で、じっと毛布にくるまります。
日が落ちてきたころ、工場から部外者に声がかかりました。
「できたから入ってもいいよ!」
いい感じの、粗い出来栄えです。
でもすごくいい!
「おお~!いいじゃ~ん!」
久しぶりに大きい声が出せた気がします。
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設計会議が始まったとき、子どもたちの話がぽつぽつ耳に入ってきました。
「ねえねえ、もしものためにさ、車の中で料理もできるようにしようよ」
「もしものために、車の中で釣りもできるようにしとこう」
「食料をいっぱい積んでおけるように、荷物置き場を広くしよう」
子どもたちもいろいろ考えているんだな、と少し切ないような気持ちになりました。
完成した車を見て、勝手に心の中で「もしもの車」と名づけています。
その車に乗るよ。
乗せてください。
※ちなみに、完成写真の運転者奥の部分が、「荷台」兼「調理場」兼「釣り場」という夢のスペースだとのこと。