春を見過ごしていた
久しぶりの投稿です。
3月からなんとか福島で暮らしています。
「なんとか」と言っているのは、今回、本当に苦しい引越しだったからです。
コロナウイルスの問題が深刻化するにつれ心身の状態が悪化し、引越し10回目にしてはじめて、「荷造りの危機」(荷造りが荷出ギリギリまで終わらない)という体験をしました。
そこにある荷物を、この段ボールに詰めなければならないことは、わかっている。
わかっちゃいるけど、詰められない。
荷物と段ボールをぼーっと見つめたまま動けずに、ただ時間だけが過ぎていく。
こんな調子で、引越し当日の午前0時を回っても荷造りは終わらず(荷出しは朝8時)。
「じゅうぶんやってるよ。風呂入って布団に入って。俺もその後すぐ寝るから」
夫に言われ、布団に入るも、眠れず。
あとからあとから、正体不明の涙がぼろぼろこぼれてきました。
子どものころから今まであった出来事が、頭の中でランダムに映し出されて、記憶の出し入れというか、記憶の収納処理が、一時的にできなくなってしまいました。
大丈夫かな…
浅い眠りから覚めると、まもなく子どもたちが起きだしてきました。
「いや~、いよいよだね~!とうとう引越しだね~!」
「うお~~」
日の光がまぶしい、よく晴れた朝でした。
**************************************
こまかなトラブルは次々と起きたものの、無事引越しを終え、福島市での生活が始まりました。
幹線道路沿いのマンションですが、家の裏手に出ると、静かな田畑が広がっています。
山が近く、空が広い。
大きな川も流れています。
長男の転校先の学校は公立ですが制服がありました。
私にとっては軽い驚きでした。
ゴムのズボンとTシャツ、トレーナーしか知らない(と言っても過言ではない)長男は、ブレザーのボタンをとめるのも一苦労。
やっとこさ自力で着られるようになったものの、市内の学校は休校中。
学校が再開するころには(いつになるかわからないけれど)、制服の着方など、またすっかり忘れていることでしょう。
別々の園への入園が決まった次男、三男も、現在は自主休園中です。
さいたまの親友が、心配して何度かメッセージをくれました。
首都圏は相当大変なはずなのに、こちらの新生活ばかり気遣う文面に、なんと返信していいかわからず、近所の写真を何枚か送りました。
桜や
菜の花もきれい。
しばらくすると、彼女からまた返信がありました。
「春が来たのをすっかり見過ごしていたよ」
私も、見過ごすところだったよ。
目に入れてみても、ちゃんと映し出されてこないような感じがしている。
春。